ささやかなサイト論の前のささやかなメタサイト論

ソーシャルブックマークの使い方に関する考察Muibrog
自分のブログの付加価値を上げる方法 前編304 Not Modified
自分のブログの付加価値を上げる方法 後編304 Not Modified

今回、話題になっているのは「はてぶ」ないし「SBM全般」です。というわけで、僕も少し書こうかなと思うわけです。その前に、きわめて個人的な感想を言うと、僕は「サイトというのは【中の人】に興味が向かうことが重要なのだ」ということに関して、以前からおふたりと通底しているという意識があるのですが、ここまでに読ませていただいた記事の多くでその点が強調されていてひそかに嬉しかったです。

「ブログというのは名刺のようなものです」と比喩されたりするわりに「中の人」という観点はしばしば忘れられます。ある一定のシステムとの関係において個人をみるという分析を否定しているわけではないけれど、システムに寄与するために個人があるわけではないということは、強調してしたりないということはないと思うので、ここでも言っておきます。

上記リンク先の記事は、ともに「ソーシャルブックマークメインサイトで表現しきれない運営者の興味の方向を示すために用いたらどうか」という提言になっています。重要なのは、その力点が「運営者」にあるということです。テキストサイトや日記サイトはもちろん、ニュースサイトと言えども、それが個人サイトである限り、「中の人」に興味が向かうことが重要なのです。そしてこれは「はてぶ」というシステムを駆動するための一単位であると考えられるようなクリッパーに関しても言うことができます。

この観点に注目すると、実はまなめさんの「自分のブログの付加価値を上げる方法」というタイトルは「ブログ」に力点があるようで少し気になります。つまり、まなめさんのモデルでは、ソーシャルブックマークがサイトの価値を高め、サイトが自分の価値を高めるという二重構造になっています。だからこそ、「ブログの価値を高める」でも「自分の価値を高める」でもなく「ブログの付加価値を高める」なのでしょう。

ですから、ブログは自分の価値を高め、ソーシャルブックマークはブログの価値を高め、したがって、自分の価値は直接的にはブログに高められています。そして、ソーシャルブックマークの価値が高まることによってブログの価値が高まり、それによって、間接的に自分の価値が高まるという構造になっています。これがつまり、自分から見たときに、ソーシャルブックマークがブログの付加価値として機能しているということです

また、この箇所を丁寧に読むと「ソーシャルブックマークはサイトとしては機能しない」ということをまなめさんは暗に示唆しています。これに関して、僕はまなめさんの見方に共感を覚えます。ただ、ソーシャルブックマークの利用者の存在感が、ソーシャルブックマークによって高められているというようなことは、たぶん、あるでしょう。

ちなみに、としさんのモデルでは、サイトとソーシャルブックマークの接点に運営者がおり、その両方が運営者を基点に連結され、運営者の価値を双方が直接高めるという構図になっています。こちらのほうがすんなり理解できます。しかし、いずれにせよ、結局は「運営者」に諸価値が収束するように意図されています。そして、それが大切なことなのです。