香陸君の2006年10大ニュース

告知していた通り、「だんげ」さん主催の企画に今年も参加させていただきました。感想は付け始めたらきりがないので、できるだけ簡潔にまとめます。個別のニュースを選ぶというよりは大まかな枠組みになってしまいましたが、いちおう個別の記事でもカウントできるようにしました。

というわけで、以下、香陸が選ぶ、2006年10大ニュースをどうぞ。


【Logistica】

やや手前味噌な選考ですが、持ち回りでお題を決めて個人ニュースサイトの中の人たちがそれに関していろいろ喋るという(想像以上に疲れるが面白い)企画をやりました。現在は提題を一巡したところで休止中ですが、来年はどうなるでしょうか。僕はかすかに期待しています。


2chスレまとめサイト絡みのアフィリエイト騒動】

もう、えらい昔のことのように感じられますが、まだ半年しか経っていません。個人的に非常に不気味な出来事だったと感じています。あの祭りはたしかにある意味で不可避のものだっただろうとは思うのですが、それでも腑に落ちないところはけっこうあります。やはり魔女狩りだったのではないかという懸念はありますね。他のいわゆる「炎上」「祭り」と呼ばれる出来事とは少し色が違うといまでも感じます。結局のところ、この騒動から得られた教訓とはどういうものでしょうか。


【しょうこお姉さんが生み出した地獄の魔物スプー】

今年、最初にYouTubeの力を感じたのがこれでした(最初に動画が上がったのはYouTubeではなかったと思いますが)。初めて観たときは最高に面白かったです。

  • YouTube - THE END OF CHOCO RANG TANG ISLAND


【「ヤシガニ」にみるアニメとウェブのネタ的なかかわり 〜WikiYouTube〜】

涼宮ハルヒの憂鬱」のヒットとYouTubeのかかわりを指摘する人も多いですが、僕はどちらかというとその意見には積極的ではなくて、「涼宮ハルヒの憂鬱」のヒットとYouTubeでの涼宮ハルヒネタの盛り上がりというのは連動していたとは思いますが基本的に別件だと思っています。もちろん、たしかに「涼宮ハルヒ」の全般的なマーケティングのうまさは特筆に価すると思います。
むしろ、ウェブのコミュニケーションを最大限に活用して成功した例というのは去年の「ぱにぽにだっしゅ!」であって、去年のそれを陽の盛り上がりとしたとき、今年は「MUSASHI」や「キャベツ」等の陰の盛り上がりが目に付きやすかったのではないかと、そして、この盛り上がりにとってはYouTubeは絶対に欠かせない場であっただろうと思います。

また、やや余談になりますが、「ゲド戦記」や「ブレイブストーリー」のようなあまりにとほほな作品が誇大広告を打たれて紹介されていたのと対照的に、「時をかける少女」が口コミで大ヒットに結びついたのはやはり面白い出来事だったし、爽快な出来事でもあったと思います。こういったことに爽快さを感じるという時点で、まだそういうことが当たり前の時代ではないのだなという過渡期感を抱いたりもしました。


ミクシィの光と陰 〜ケツ毛バーガー事件〜】

これにはいろいろな問題が絡んでいて、必ずしもミクシィの陰を象徴するものというわけではないと思うのですが、この出来事をきっかけにミクシィ再評価の機運が生じたのはたしかだと思います。灰色のきな臭いものが漂うウェブにおいて、ミクシィというサービスは(少なくとも表面的には)使っていない石鹸のように清潔な立場を保持していたように思います。そういう嘘臭さはやはりどこかで破綻が生じるのだなというダイナミズムを感じました。


【「TBS」「NHK」等のTV局に対する不信 〜亀田興毅八百長試合疑惑〜】

まあ、なにやら不愉快な話が多かったということですね。ある意味で期待通りの噂がウェブにいるとぼろぼろと漏れ伝わってくるわけですが、批判するほどの執着はないし非難するほどの興味もないくらいの距離感で、その胡散臭さに辟易することは非常に多かったと思います。表立って集計したことはないですが、サイレントマジョリティの意見を考慮するとこれはつまりそういう人はとても多かったということになります。
24時間テレビ」のうそ臭さや「太田総理」の阿呆らしさや「TVの力」の勘違いぶりや「オーラの泉」の狂いっぷりに「細木数子」の間抜けさ、さらには安易なクイズ番組やお笑い番組の乱立など、テレビ局の節操のなさにはあきれます。僕があきれたところで仕方のないことですし、あきれる番組があるのは常なのでまあ良いとしても、その分野への参入が阻害されていたりするのは問題かなと思います。自浄作用を働かせない限り、遠からず自滅するだけだから良いような気もしますが。


【ニュースサイトに新風】


嫌韓・親韓という現象→嫌日という現状】

去年の10大ニュースの最後にウェブの「嫌韓現象」を挙げたのですが、去年のそれはある意味でリアルの親韓現象「韓流ブーム」の裏面だったのだと思っています。それらは表裏一体の関係になっているからこそ、自分の好感情がどちらかの立場に揺れると同時にもう一方の立場に反感情を抱くものだったと思います。
しかし、今年に入ってその状況は少し変わってきたように思えて、それは嫌韓か親韓かというわかりやすいけれどもそれ以上の建設的な展開もない主観的な図式から、すなわち、ある意味でこちら側の問題だったことから、こちらがどういう態度を取ってなにをどうしようとも、なにかしらたしかな形で日本(人)は韓国人に嫌われているようだという実態に基づいた推測があり、この問題はこちら側からは手出しできない問題なのだということがはっきりしてきたということです。いちおうもう少し補足すると、これ以上はもう譲歩できないというところまで拭い切れない理不尽さが露呈してきたということです。
これはおそらく戦後日本の構造的な問題でもあります。軍事的な緊張も相俟って日本国内外でのロビー活動や情報戦というのを鑑みたときに、個人でどうこうできるものではないだろうと思うからこそ個別の事例に対して冷静になることが多かったし、僕としては日本国内で「嫌韓」と呼ばれるような話題を扱うことにもあまりためらわなくなりました。ちなみに「mumurブルログ」さんの次の記事の解説に胸を打つものがあったので引用させてもらいます。

>またマスメディアも、いわゆるインターネット右翼と呼ばれる人たちの動向などについてももっと報道して欲しい。


マスメディアが「インターネット右翼」をキチンと取り上げられないのは、「インターネット右翼」の本質が嫌中・嫌韓にあるからではなく、実態は「嫌マスコミ」だから。マスコミがこれまで流布してきた数々の捏造に対する反動として現れたのだから、ここをキチンと検証すると自分達の嘘を自分達で暴かざるをえない。マスコミ自身がそれを実行できるわけがない。