レビューと評論

作品に関する語り方として「評論」と「レビュー」があります。評論というのは理論的なもので、レビューというのは商業的なものであると僕は考えています。そして、おおまかに言って、作品に接する前に読むのが「レビュー」であり、作品に接した後に読むのが「評論」であるだろうと思います。

そういう意味で、「評論」はそれ自体が作品でもありえます。というのも、それがある種の客観性を帯びているからでしょう。評論の元になる作品の作者はもちろん自分の作品に関して大きな影響力を持つけれど、だからといって、その作品の評論がその作者の前で無意味になるわけではありません。そして反対に、「レビュー」は主観性の強いものであるでしょう。これは「評論」の評価基準が「良い/悪い」「上手/下手」であるのに対して、「レビュー」の評価基準が「好き/嫌い」であるということにあるように思います。

ちなみに「評論」が書ける人は以前と同じ程度だけれど、「レビュー」を書ける人が圧倒的に増加したというのが、現代であると思います。それは、この区別を個人サイトに当てはめてみましょう。すると、羅列型個人ニュースサイトは「レビュー」的であって、blog感想型個人ニュースサイトは「評論」的ということができるように思います。よって、羅列型個人ニュースサイトの「笑った」というような他愛のない一行コメントはサイトの性格として必然的な感想ということができるように思います。